カウンセリングルーム ハルモニア 東京・八王子

カウンセリングルームでのセッション・様子・出来事など

事例 : 女子高生・自律神経失調症4

事例 : 女子高生・自律神経失調症
カウンセリングルーム ハルモニア・東京・八王子 
事例を書くのに結構体力がいる、書きたいことがたくさんある、となかなか書き出せません。作家さんとはすごいですね。今、毎日書こうとしておりますが、頭が真っ白になる日もしばしばです、久しぶりに続きです。
 

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前回までの流れ
 ●主訴
心療内科にて、自律神経失調症と診断、緊張性の胃の痛み・吐き気・頭痛・PMS(生理前緊張)・生理不順など身体的に症状が出ている。
現在高校3年生、「部活最後の試合を控え、せめて出場して引退したい。」 
薬は緊張してしまう場面では効かない、「大学受験の体制に入る前になんとかしたい」
とのことで来室。
 
  ●インフォームド・コンセント
彼女の中で、一体何が起こって心と身体に問題が起きているのかを具体的に説明する。
①の彼女は、やりたいことに向かい頑張り過ぎるくらい努力をするが、いざとなると彼女②が、緊張してしまう、
②の彼女は失敗が怖い・失敗が許されないと強く思うためである。いよいよ逃げられないと思うと・・・、
③の彼女の身体は凍結(フリーズ)する、固まった身体はいろいろな身体症状を発する。
④の優等生は良い子で頑張るだけでなく、責任感も強い。出場したいと自分から発しているのに実行できない自身を責めてしまうことで、ますます苦しい、実際症状もすすむ。
 
1人の1つの身体の中でこれだけの自身の感情であり・人格である存在がいろいろ考えて行動しています。
このように、混乱したひとりひとりを、分離させて感情のこじれの問題をひとりひとり解決していくことで、バラバラだった心と身体は統合されていきます。
 
前回の続きから
●心理カウンセリング
まず、インフォームド・コンセントで問題の明確化を行いました。
彼女の場合、『4人の人格がアクセルとブレーキを踏んでいることで、前に進めない状況、また身体的にも症状が出てしまいます』と、心の状態をご説明した上で、具体的に彼女にあった心理療法を行いました。
 
ハルモニアでは、いくつかの心理学理論を使いながら、【クライアント様の今の心身の状態は、何が問題で・どうして・どのようにして・起こっているのか?】を丁寧に説明して参ります。
 
●サイコシンセシス
皆さんもお聞き及びの通り、「ひとりの人の中にいくつもの人格がある」と心理学では言われます。
たくさんいるために、サイコシンセシスでは、人格のことをサブ・パーソナリティ・感情・自我(エゴ)・インナーチャイルドなどを同義語として使います。
 
インナーチャイルドと言う言葉は、一般では傷ついた子供として考えられているのですが、本来は人格全てをインナーチャイルドと言います。
それについての詳しい説明は、サイコシンセシスを説明するときに致しますが、たくさんの人格のすべてが問題なのではなく、こじれてる、ややこしいことになっている人格に焦点をあてて、助けにいくイメージワーク(脱同一化)を行うこととなります。
 
たくさんのサブ・パーソナリティを自我(エゴ)と言いましたが、その自我がバラバラでいる状態とは、
・自身の中で不都合が起こったり、
・苦しくなったり、
・自身のことなのに混乱したり、
・コントロールが不能になり落ち込んだりとするものです。
 
それらを実際に、自身で見つめることを通して、自己(セルフ)としての自身を引き出していきます。
その結果、自己一致、自己統一に向かいます。
 
それは、自身を客観的に俯瞰して観るだけではなく、自己統合への道がサイコシンセシス(統合心理学)が目指しているところかと思います。
このサイコシンセシスでは、自我が100人くらいいると言われているようなので、なかなかの道のりですね。
長い人生、全ての自身を見切るのはなかなか至難な道のりなわけです。
 
 認知行動療法
またその人格の思考パターンによって、どのように感情が乱れ・行動が起こせなくなり・身体的に問題が起きるのかは、認知行動療法で説明いたしますと理解し易いと思います。
認知行動療法の中に、論理療法という療法でABC理論があります。
「出来事が直線的に感情や結果を生むのではなく、受け取り方の世界が感情や結果を生む」と言われるものです。
 
A 出来事     ⇒⇒⇒            C  感情・結果
 ↘︎                                             ↗︎
  ↘︎                              ↗︎
          B  受け取り方の世界
 
B の受け取り方の世界が問題を起こすといった考えです。
『受け取り方の世界』は、人それぞれパターン化されていますが、パターン化された思考を自動思考と呼びます。
思考が感情を生み、感情が行動を生み、行動が身体を生み、身体がまた思考を生むとぐるぐる回るのが自動思考です。
思考⇒感情⇒行動⇒身体⇒思考⇒感情…となります。
 
例えば、②の彼女「失敗が怖い・失敗が許されないと強く思うためである。いよいよ逃げられないと思うと・・・」
で考えると、出来事【何か失敗する】⇒思考【失敗が許されないと強く思う】⇒感情【許されないと思い怖くなる】⇒行動【落ち着かない】⇒【胸が苦しくなる】など、身体症状につながります。
 
認知行動療法ですと、思考・感情(その時起こる気持ち)・行動・身体のどれかが変われば、全体が変わると言い、思考を変えるか・感情を変えるか・行動を変えるか・身体を変えるかとなります。
 
サイコシンセシス:脱同一化では、この思考パターンを持つ人格そのものの変容を促すワークとなります。
 
 
はてさて。
長くなりますので、今日はこの辺で。
いつもお読みいただきありがとうございます。
 
カウンセリングルーム ハルモニア 加藤佳子
 
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